お撮みカメラ日記

カメラと写真のちょっとした記録。

#8 Nikon D80

ミラーレス一眼カメラの『Nikon Z6』を購入して以降、デジタル一眼レフで撮影する機会がグンと減っていました。『Z6』とZマウントレンズによる描写に引き込まれてしまったのが大きな要因でしょう。

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

一眼レフカメラを全て手放してしまった訳ではありません。元々、『Z6』はそれまで使っていた『D810』のサブ機として購入したので。しかし、気付けば『Z6』がメイン機になってしまいました(笑)。ただ、一眼レフの写真を撮っている感覚は心地良く、使いたいとなることも多いです。

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

今回、そんな一眼レフを使いたいという気持ちがある中で、ふとCCDセンサーのカメラで撮影してみたいと思い『Nikon D80』を防湿庫から取り出しました。実に数年ぶり。

私が初めて手にしたレンズ交換式のカメラがこの『D80』。父が使っていたものを貸してもらいました。その後、『Nikon D7000』、『D810』と機材が変わって行き、触れる機会は殆どありませんでした。そもそも、使っていた当時は『D80』がCCDセンサーを搭載したカメラであるということさえ知らず、無我夢中で写真を撮っていました。センサーやレンズ構成など今になっては面白いと感じる要素ですが、始めたての人間にとってはあまり関係ないし、よくわからないことですからね(笑)。

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

使用したレンズは『Ai AF Nikkor 35mm F2D』。今回、『D80』を使いたいがために購入した1本です。中古の綺麗な状態で3万弱でした。『D80』のセンサーサイズはAPS-Cなので、35mm判換算で52.5mmの焦点距離になります。ちなみに画素数は1,020万画素。

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

これがCCDセンサーの描写かと実感した鮮やかな赤色。現代のカメラのセンサーはCMOSが主流となり、CCDは少し前の機種でないと積んでいません。簡単にそれぞれの特徴をまとめると、CCDセンサーは「高画質」で「高感度」。しかし、「消費電力が大きい」、「転送速度が遅い」、「コストがかかる」といったデメリットがあります。一方のCMOSセンサーは「消費電力が小さい」、「転送速度が速い」、「低コスト」というメリットが。しかし、CCDと比較して「ノイズ」や「感度」の性能は劣ります。ただ、CMOSのデメリットは新規技術により改善が進み、今となってはCCDと遜色のないレベルに仕上がっています。結局、現行のデジタルカメラのセンサーがCMOSになっていることを考えると、CCD以上のメリットがあるということでしょう。

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

センサーの話はこれくらいで終わり。前回の『Leica Summar L 50mm F2』ではレンズの話が多く、写真にあまり触れられなかったので…

さて、夕日の赤み掛かった光がなんとも懐かしい雰囲気にしてくれます。ボートの黄色がいい味だなと感じた1枚です。沈むような黒の発色もいい。

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

開放絞りで撮影してみました。少し輪郭の気になる丸ボケですが、これはこれで面白いと思います。開放F値が2であってもこれだけボケてくれるのであれば十分ですし。

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

 

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

青と赤の色味。CCDセンサーっていいなあと感じた1枚でした。令和という時代に生きながら、約10年前に新品で発売されていたカメラで撮影をしているというのが不思議でなりません。もう10年前なのか、まだ10年前なのか、色々と考えさせられます。そして、その間に街の様子も変化しているのです。

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

 

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

街中を歩きつつ色鮮やかなものを探していると、壁に描かれた落書きを発見。学生の時に取り集めていたのを思い出しました。日本は落書き感が強いですが、海外になるとグラフィティアートと呼ばれる芸術性の高いものが多い印象です。トロントとハワイでグラフィティアートを見た時の感動は今でも覚えています。

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

紫色と黄色は合いますね。壁に近づいて部分的に切り取ることで、描かれている線を幾何学的に捉えることができます。

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

 縦の線を撮りたく、縦構図で撮影した1枚。壁面の凹凸もしっかり感じられる写真です。このように被写体のどこを切り取るのか、構図をより慎重に考えて撮る場合だと、『D80』のファインダー視野率が上下左右約95%であることがネック。現在使っているカメラは100%のものばかりでしたので、撮影しながら「そういえば」という感覚でした。

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

黒い空間から浮かび上がるようなシダ植物の深い緑色が湿度を感じさせてくれます。黒の締り具合が気持ち良いです。

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

 

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

 紫陽花は好きな花の1つ。今回はマクロレンズではなかったので、大胆に寄ることができませんでしたが、『Ai AF Nikkor 35mm F2D』でも意外と寄れた感じがします。紫陽花はガクの形状が面白いので、この写真のように少し引いた方が全体が見えて落ち着くのかもしれません。ただ、どこにピントを合わせるのかしっかり考えてから撮影することをおすすめします。後で見返した時に、ピント位置がアンバランスだったということが意外とありますので。

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Nikon D80 + Ai AF Nikkor 35mm F2D

 フィルムで撮影した写真を見て懐かしさを感じるように、CCDセンサーのカメラで撮影した写真にも懐かしさを感じます。深くて鮮やかな発色や夕日の色合いが古いデジタル感を出してるのかもしれません。

最新機材で撮影しているとたまにやって来る、古い機材で遊びたくなる衝動。スーパーファミコンが恋しくなるのと似ていますね。ひょっとすると、撮影機材は買い替えるよりも購入するだけの方が良かったりするのかもしれません。手放してしまうと、もう二度と手に入らないかもしれないですし。防湿庫に古いデジタルカメラが眠っているという方は、今一度触れてみてはいかがでしょうか。購入当時には気付かなかった面白い発見や体験があるかもしれません。

それではまた。