お撮みカメラ日記

カメラと写真のちょっとした記録。

#7 Leica Summar L 50mm F2

前回は、1周2周回って欲しくなった『RICOH GR III』について書いてみました。そして、今回は遊び心をくすぐられたレンズ。オールドレンズが面白いと感じた1本にスポットライトを当てます。

撮影がまだ肌寒さを感じる時期に行っていたので、季節感がズレてしまっていますがご了承ください。

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Nikon Z6 + Leica Summar L 50mm F2

さて、私のメイン機は『Nikon Z6』。レンズはニコンのZマウントレンズを数本使っています。Zマウントレンズの描写力は撮影時から感じ、バッチリ写るという印象です。私にとって、被写体を忠実に写し出す癖のない描写性能は最高。しかし、1年程そのZマウントレンズの魅力を堪能していると、少し描写で遊んでみたいと思うようになりました。気ままに撮影したり、レンズの味を楽しんでみたいなと。ずっと同じ味のお菓子を食べてると飽きが来るのと同じ感覚です。たまには違う味にしてみようかなというあの感じ。完全にZマウントレンズに飽きた訳ではないので安心してください(笑)。現状の作品撮りや風景撮影では迷わずZシステムを使っています。

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Leica Summar L 50mm F2

Zマウントレンズとは違うとなると、ふんわりと柔らかかったり、収差のあるレンズ。ちょっと前まで、甘い描写でボケも一癖、二癖あるものを探すとは思ってもいませんでした。オールドレンズらしいレンズの見た目やマウントアダプターの豊富なマウントなど、色々な条件からL39マウントに決定。そこにはライカへの憧れもありました。いつかはM型ライカでスナップ写真を撮ってみたいと。L39マウントであれば変換リングで簡単にMマウントボディに付けられますし。

そんな訳で、私が選んだのは『Leica Summar L 50mm F2』。これが私のライカ(レンズ)デビューとなりました。購入直前、梅鉢こと『MINOLTA SUPER ROKKOR 45mm F2.8』とどちらにするか悩んでいたのですが、実際に両レンズを『Z6』に装着してみた結果、『Summar L 50mm F2』に決めました。残念ながら、『SUPER ROKKOR 45mm F2.8』は『Z6』の深いグリップの形状にはマッチしなかったのです。『SIGMA fp』のようなフラットなボディには合う1本なのですが…

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Nikon Z6 + Leica Summar L 50mm F2

では、『Summar L 50mm F2』で撮影した写真をご覧いただければと思います。ニコンのミラーレス一眼カメラのEVFは非常にクリアで見やすく、オールドレンズとの相性は抜群。ファインダーを覗いた時からレンズの古めかしさを感じ、オールドレンズを使ってるぞと実感します。

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Nikon Z6 + Leica Summar L 50mm F2

『Summar L 50mm F2』はライツ社が1933年に発売した大口径の明るいレンズ。レンズ構成は4群6枚のガウスタイプガウスタイプは歪曲収差や球面収差、色収差などには優れていますが、逆光に非常に弱く、フレア・ゴーストが出やすい。ガラスの間に隙間が多く、内面反射が起きてしまうのです。ライカガウスタイプレンズが苦戦している一方、競争関係にあったカールツァイスは、ガラス間の隙間が少なく、シャープで明るいゾナータイプのレンズを作り、優勢でした。

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Nikon Z6 + Leica Summar L 50mm F2

発売当初から、『Summar L 50mm F2』の開放絞りの描写は甘いと言われており、癖玉として認知されていたとか。今となってはその癖のある描写が良いとされ、人気が出ています。価格もライカレンズとして非常にリーズナブルな方で、5万円程で買えたと思います。

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Nikon Z6 + Leica Summar L 50mm F2

このレンズも「#3 Nikon NIKKOR-H・C 5cm F2」の時と同じ、『SHOTEN マウントアダプター ライカMレンズ/ニコンZボディ用 ヘリコイド付き LM-NZ M EX』と『RAYQUAL M/L変換リング ライカLレンズ/ライカMボディ用 50/75mm 半欠きタイプ』の2つのマウントアダプターを使用して『Z6』に装着しています。ヘリコイドにより、最短撮影距離もグッと短くなるのでオススメです。

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Nikon Z6 + Leica Summar L 50mm F2

F10くらいまで絞った1枚。『Z6』との相性もあるのかもしれませんが、画面周辺までしっかり写っています。開放絞りでの撮影が鉄則のように言われたりもしますが、必要に応じて絞りは決めるべきだと思います。その描写の変化を楽しむのも撮影の醍醐味ですから。

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Nikon Z6 + Leica Summar L 50mm F2

もう少しだけ『Summar L 50mm F2』の小話を。

このレンズは描写以外にも問題がありました。それは前玉の硬さ。実は、前玉のガラスが柔らかく、傷が付き易いのです。中古のカメラ屋やインターネットで探していた時、前玉に無数の擦り傷が付いたレンズが何本もありました。私が購入したレンズにも細かい傷がありますが、まだ状態が良いものだとか。レンズ構成によりフレア・ゴーストが出やすく、コーティングもなく、傷が付き易いという普通に考えればマイナスな点が多いですね…

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Nikon Z6 + Leica Summar L 50mm F2

この日は曇天でしたが、寧ろそれが良かったと思います。写真全体が白くなり、ふわふわな描写になってくれました。開放絞りでのコントラストの低さとハイライト部分の滲み具合が写真全体を柔らかにしてくれます。思い出や夢の中のはっきりとしない世界のようです。

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Nikon Z6 + Leica Summar L 50mm F2

 

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Nikon Z6 + Leica Summar L 50mm F2

最後は室内をモノクロで撮影してみました。中間色のトーンが滑らかで、見ていてうっとりしてしまいます。

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Nikon Z6 + Leica Summar L 50mm F2

 シャープでバキバキに解像してる写真が好きな私ですが、オールドレンズを手にしてから柔らかい描写やボケが面白いと感じるようになりました。それは、構図や主題、ピントなどの写真を構成する要素を曖昧にすることは違います。基本は抑えておくべきだと思います。そう言ってても、偶然撮れたピンボケの1枚が絶妙に良かったりもするので、写真は本当面白いです。

今回も、撮影した写真についてしっかり書きたいと思っていましたが、書き始めるとレンズのことで一杯に。これでもだいぶ端折っていますが…ライカの機材を知ろうとすることは正に歴史の勉強。私自身、歴史の勉強は苦手でしたが、今になって知識を蓄えることの面白さを実感しました。ご自身が使われている機材について色々と知っていて損はないでしょう。写真について語るにしても、機材や撮影技法などは共通の知識として必要になることがあるので。でも、写真を楽しむことを忘れずにいたいですね。

それではまた。