写真が好きになると、いつでもカメラを持ち歩きたいと思うようになります。いつ、どんな時に撮りたいと思う被写体や場面に巡り合えるかわからないですから。それは、旅行に限らず、通勤や街に買い物に行くときも同じ。私自身、通勤カバンはカメラバッグで、いつも何かしらの機材が入っていました。退勤後に撮影をしてから帰るという日もあったなぁと、今は懐かしく思います。
『Nikon Z6』や『Nikon Z50』などでスナップ撮影をしていましたが、それらの機材をわざわざ持って行くことが困難なことも。クラッチバッグで出掛ける時は特にそうでした。そして、カメラを持っていなそうな荷物でも、何処かに忍ばせておきたいと思ったのです。
そんな訳で、今回ご紹介するカメラは『RICOH GR III』。私が購入したのは『GR III Street Edition』という限定モデルです。限定モデルと言っても機能は通常モデルと同じ。違うのは塗装と山吹色のリングくらいです。通常モデルとの価格差も小さかったので、買うならこっちでしょうと即決でした。
『GR III』は有効画素数は約2424万画素のAPS-Cサイズのセンサーを搭載。コンデジとしてはかなり大きいセンサーで、A3の写真用紙にプリントしても大丈夫な画質を持っています。いい写真が撮れてプリントしたい時にしっかり使えるのが嬉しいですね。大きなセンサーと手ブレ補正機能を搭載し、シャツの胸ポケットにも入ってしまうというコンパクトさは本当に素晴らしい。
スナップシューターとして力を発揮する『GR III』にはマクロモードが備わっています。マクロモードに切り替えると無限遠での撮影はできませんが、ボタン1つでモードを切り替えられるので不便さはありません。コンデジでマクロ撮影をするのはこのカメラが初めてでしたが、想像していたよりも解像されており、『GR III』で撮影したと言わないとわからないでしょう。勿論、撮影倍率0.35倍なので等倍以上に寄りたい時は流石にレンズ交換式のカメラが良いとは思います。あくまで、気軽にマクロ撮影が楽しめるという点では非常に便利で気に入っている機能です。
基本的にイメージコントロールはクロスプロセスにしていますが、ボディ内でRAW現像ができるので、モノクロに現像したりすることもあります。自分ルールですが、スナップ写真は気軽に撮りたいので、他の撮影のように時間をかけた現像作業はなしと決めています。するにしても、ボディ内現像で済ませる程度です。実際にシャッターを切った時のイメージを崩したくないという思いもあるので、それくらいにしています。
撮影者の存在が空気のようで、ただ単純に光景が切り取られたような写真。私の作品には、≪そこにあるもの あったもの≫というタイトルのものがあります。学生時代から撮っているスナップ写真のシリーズで、キャプションは次のように書きました。
≪そこにあるもの あったもの≫
写真は撮った瞬間に「過去」になる
「現在」を切り取り「過去」とする
「未来」と「現在」を天秤にかけて
私はその時何を見ていたのだろうか
2年くらいちょこちょこと『写ルンです』で撮っていましたが、社会人になってからはあまり撮影できずにいました。『GR III』を手にしてから、その作品制作を再開しようと思い、改めてキャプションを読んでみましたが、私のスナップ写真の癖を感じる内容だなと。
構図が崩れているのが嫌いで、かっちり決まっているのを好むというのがスナップ写真にも反映されているようです。ピントに関しては、意図して外すことを除いてあるべきだとか、そもそものピントの場所とか細か過ぎるような気もします。でも、それくらい1枚の写真を撮るにあたって考えることは重要だと思います。結果、動きを感じるスナップ写真を撮りたいと思いつつも、時間が止まったかのような写真が量産されていきますが(笑)。
さて、『GR III』は食事の場面でも活躍してくれます。飲食店でカメラバッグからゴソゴソと大きなカメラを取り出して撮影すると、周囲から視線を感じることがありました。コンデジならそこまで気にされなく撮影できるのが良いですね。
APS-Cサイズのセンサーを搭載しているので、繊細な料理の写真を撮ることが可能です。『GR III』を手にするまではスマホで撮影していましたが、今では『GR III』でしか撮影していません。そのためか、スマホの中にはメモのために撮った画像やスクリーンショットばかりになっています。
この『GR III』で撮影したご飯の写真は「GR飯」とでも名付けましょうか。これらの写真は意外と気に入っていて、外出時にはせっかくだから美味しいものを食べようという気にさせてくれます。圧倒的にラーメン率が高いですが(笑)。
カメラと一言で言っても、レンズ交換式のカメラやコンデジ、一眼レフやミラーレスなど様々なものが存在しています。そして、それぞれの役割や得意分野がある訳です。『GR III』は特にそれらが明確な1台。単焦点レンズでコンパクト、速写性に優れているというスナップをするために考えられたカメラです。よって、誰にでもオススメできる1台ではありませんが、条件を満たせば非常に優秀な相棒になります。
今回は、1周、2周回って欲しくなったスナップシューターをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。撮影が楽しくなると、使ってみたいボディやレンズが増えてきます。次回もそんなレンズをご紹介できればと思います。
それではまた。